公務員のためのイデコ第3回。今回は実際にシミュレーションをしていきたいと思います。
とっても節税になりますよ!と、入り口でとてもいい顔をしているイデコ。
出口でのデメリットについて具体的に紹介しているイデコサイトは中々ありません。
出口である年金の受け取りには結構な税金がかかる可能性もあり、本当にメリットがあるのかどうか、人によって変わる可能性もあれば、メリットも大きく変動してしまいます。
今回はずっと払い続けたイデコを60歳以上になって受け取る時の出口戦略につてい見ていきたいと思います。
また、第1回はこちら。
こちらの本や国税庁のHPで勉強させて頂きました。
公務員のイデコシミュレーション
今回はタイトルどおり、公務員を対象にしていますが、公務員だからと言って特別な計算があるわけでもありませんので、サラリーマンやパートの方でも同じような考え方です。ただ、非常に幅が広くなってしまいがちなので、公務員を例に計算してみたいと思います。
イデコに加入する背景
今年40歳になるHさん。地方公共団体に務めるサラリーマンで24歳で大学院を出て就職。
奥さんはずっと専業主婦。
イデコのことをきっかけに老後のことを考え始め、色々と調べてわかったことが、
退職金はおおよそ2000万円もらえるということ。
住宅ローンもあるため、それだけでは不安と思い、節税に役に立ちそうな個人型確定拠出年金(イデコ)に入ることを検討してみることにしました。
だけれども、本当に+イデコこれだけで安定的な老後としては足りるのだろうか?
今まで順風に生活していて、辛いながらも仕事もなんとかこなしてきた。
このまま不自由なく子供が成長して独り立ちし、妻と安泰な老後を暮らして行ければと考えている。
そのためにもイデコで資産を減らすことはしたくない。
計算の前提としては前回の第二回に提示した内容で行きたいと思います。
イデコ受け取りのための計算 長いですががんばって。
今回の計算の目的は、
イデコが入り口では非常に節税になることがわかった。
一方で受け取り方によって支払う税金が変わるのでは?
ということから、
どの受け取り方が一番良くて、最終的に入り口と出口の税金でどれだけプラスになるのかが知りたい。
ということを目標とします。
条件(第二回と変わりありません):
現在40歳。年収650万円の公務員。
40歳~60歳までの20年間確定拠出年金(イデコ)に加入。掛け金は最高額である月12,000円。
年率3%で運用した結果を色々な方法で受け取ることを考えたい。
退職金は2000万。勤続36年で退職予定。
60歳から65歳は関連の職場で嘱託として働く予定なので、イデコは公的年金等控除の額が広がる65歳から10年かけて年金のようにもらおうと考えている。
65歳からの厚生年金の額は、国民年金と併せて18.5万円。(大体そのぐらいかと)
とした場合。
イデコ分の非課税になるメリットの計算
今回年間14万4千円をイデコ口座に入れることで、その分が非課税となるため、所得税がお得になります。
年収650万円の方の場合、所得税率は20%となり、毎年2万8,800円の減税のメリットがあります。
今回はそれが20年間なので、合計して57万6千円の節税のメリットがあることになりました。
退職金にかかる税金(出口戦略)
非課税のメリットは出てきましたが、それに対してデメリットを計算していきます。
それではまずは60歳の退職時にもらえる退職金についてかかる税金について計算していきます。
退職時にもらえる退職金は、退職金控除というものが使え、税金が安くなるような仕組みがあります。
勤続20年までだったら。
退職金控除額=勤続年数×40万円。
勤続20年以上の場合
退職金控除額=800万円+(勤続年数-20)×70万円
で計算されます。
国税庁HP:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1420.htm
今回のケースだと、勤続年数36年なので
800万円+16×70万円=1920万円になります。
退職金が2000万円なので、1920万円控除して、残りの80万円に2分の1を掛けた40万円が控除後の所得として計算されます。
退職金についての税金は、他に再雇用の給与収入があったとしても別として計算されます。
その退職金の所得によって課税税率が変わってきますので次の表を参照してください。
A 課税退職所得金額 | B 税率 | C 控除額 |
1,000円から1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円から3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円から6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円から8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円から17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円から39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
国税庁HPより
課税所得が40万円でしたので、5%の所得税をかけると2万円。
さらに10%の住民税がかかるものとすると、4万円。
足し合わせると、6万円が退職金にかかる税金になります。
かなり少なくて済む制度になっているようですね。
65歳以上で受け取る年金の額
ここまで退職金の税金について説明してきましたが、続いて退職後に受け取れるようになる収入として、年金として受け取るときの税金について説明します。
年金の種類としては、
国民年金や厚生年金、今回のイデコ、退職金を年金として受け取る。
など、年金と一口に言っても色々な種類があります。
この中でイデコについて見てみると、一時金(退職金扱い)か年金受取りかを選択できることが多くなっています。(取り扱う証券会社によって違います。)
また退職金についても一時金か年金受取りかを選択できるかどうかはお勤め先の会社によってかわってきますのでご注意ください。
今回はイデコを年金で受け取る。という方向で話を進めます。
イデコを年金で受け取る場合、同じようにもらえる国民年金や厚生年金と併せて考える必要があります。
では、併せてもらえる国民年金と厚生年金はいくらぐらい貰えるのでしょうか。
ここで受け取りは65歳からとします。
65歳未満で受け取ると控除額は低くなったり、もらえる金額は少なくなるはであまり良いことがありません。
事情がなければ65歳以降で受け取るほうがトータルとして受取金額が多くなる可能性が高いです。
年金にかかる税金の控除である公的年金控除については次の表で示します。
年金を受け取る人の年齢 | (a)公的年金等の収入金額の合計額 | (b)割合 | (c)控除額 |
65歳未満 | (公的年金等の収入金額の合計額が700,000円以下の場合は所得金額はゼロ。) | ||
700,001円から1,299,999円まで | 100% | 700,000円 | |
1,300,000円から4,099,999円まで | 75% | 375,000円 | |
4,100,000円から7,699,999円まで | 85% | 785,000円 | |
7,700,000円以上 | 95% | 1,555,000円 | |
65歳以上 | (公的年金等の収入金額の合計額が1,200,000円以下の場合は、所得金額はゼロ。) | ||
1,200,001円から3,299,999円まで | 100% | 1,200,000円 | |
3,300,000円から4,099,999円まで | 75% | 375,000円 | |
4,100,000円から7,699,999円まで | 85% | 785,000円 | |
7,700,000円以上 | 95% | 1,555,000円 |
国税庁HP:より
この表を見ても、年金を65歳未満で受け取ることは、税金が多くかかってしまうことが分かります。
今回の場合、65歳以上で受け取る年金は、国民年金+厚生年金(目安)+イデコ、とします。
退職金については一時金として退職時に全て受け取り、年金としては受け取りません。
理由は、恐らく大抵の人は一時金としての退職金としてもらったほうが支払う税金が少なくなるからです。
おそらくとかだろうとか逃げ腰な言葉ばかりですが、ここを突き詰めると、もらうはずの退職金がどのように運用され、どのように増えるか、時代によって変わることがありそうでしたので多少ぼかしていますが、支払う税金の額がかなり違ってくるため大丈夫でしょう。
まずは国民年金+厚生年金が65歳以降どれだけもらえるか。
これもおおよそではありますが、月18万5千円。年にすると224万円のようです。
もちろん厚生年金に入っていない期間があったり、国民年金が未納だったりすればもらえる額は少なくなります。
イデコについては月額1万2千円(年間14万4千円)に年率3%運用益、口座管理手数料、信託報酬、引き出し手数料などを差し引いた残高の合計が、
20年間で約390万円になります。
掛け金が14万4千円×20=288万円なので、年率はたったの3%ですが、複利効果の運用益で1.3倍ぐらいになっています。
これを10年間で受け取ることを考慮すると、イデコで貯めた金額を10で割って年間で+約39万円受け取れることになります。
年金とイデコの合計をして、年間に263万円を65歳以上で年金として受け取ることになります。
ここで先程の公的年金控除の表に当てはめてみます。
年金としてもらえる金額が年間263万円なので、100%が課税所得となり、そこから120万円控除となりますので、かかる課税所得は143万円になります。
また、基礎控除(38万円)と配偶者控除(38万円)を考慮した場合。
142万円ー38万円-38万円=66万円となり
課税所得66万円に対して、5%の所得税が3万3千円がかかります。
また、課税所得の10%の住民税が6万6千円となり、合計して9万9千円の税金を支払う必要があると思われます。
この9万9千円をイデコを受給する期間の10年間支払いますので合計で支払う税金は99万円。
結構大きいですね。
基本となる計算、イデコに加入しなかった場合に支払う税金
比較のためにイデコ無しの場合(国民年金+厚生年金のみ)の税金についても計算しておきます。
年間で年金として224万円もらえますので、そこから公的年金控除120万円を差し引き、基礎控除+配偶者控除を更に差し引くと、
課税所得は28万円。
所得税5%なので、1万4千円。
住民税が10%なので、2万8千円。
合計すると年間で4万2千円の税金の支払いになります。
65歳から75歳までの10年間を考えると、10年間で支払う税金は42万円となります。
というわけで。
イデコを65歳以上で年金受取りした場合とイデコをしなかった場合との支払う税金の差は。
99万円-42万円=57万円となり、イデコをした時の方が57万円多く税金を支払う必要がある。という結果になりました。
おや。
先程計算した非課税分は57万円程度でした。
入り口で57万円控除するけど、出口で57万円払うということ・・・、
一緒ですね!イデコやる意味ないですね!
悪徳政府
へっへっへ。眼の前の非課税に釣られて、たくさんの人が加入してるな~
そのようですね。
後から同じだけ課税するにもかかわらず。要はボロボロの年金を助けるためだけの政策だと言うのに。
そうなの(ぇ)
我ながらいい案を考えたものな(満足)
なるほど。
入り口と出口が同じだったらかける意味無いですね。いやーよかった入らなくて。
って、えぇーーーーっ!
まじで!そんなことないでしょ!
そんなことあるわけありません。
ただ、そういうケースも考えられ、人によっては
イデコの掛け金がこれより多い。
退職金を年金受取りにしている。
個人年金など他の年金制度も利用している。
などで収入が増えると、入り口よりも出口で払う税金が多くなってしまいます。気をつけなければ行けないところです。
次回、第四回は入り口と出口が同じになってしまったイデコを救済する意味でも、貰い方に寄る、支払う税金の差についていくつかシミュレーションしていきたいと思います。大丈夫です。大抵の人はちゃんと増えます。
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