映画【リング0 バースデイ】推したい一場面

2000年に映画化されたリング・らせん・リング2の完結編になります。おおまかなあらすじと見所を書いていこうと思います。

時はリングより30年前の昭和43年のこと。

記者の宮地(田中好子)が貞子(仲間由紀恵)の通っていた小学校へ行き、11年前に担任だった須藤先生(角替和枝)の話を聞く所から始まります。学校にいた期間が短かった為写真もない状態だったが、貞子は海をとても怖がり「海に入ったら皆死ぬ」と言って貞子だけ海に入らなかった事、同じクラスの子供が水泳の授業で海に入り14人も亡くなってしまった事を教えてもらいます。

この頃の貞子は東京へ出て劇団に入り、美人で演技に熱心な娘ではあるが変わっていて周りから疎まれていました。

それというのも貞子が劇団に入った頃から劇団員が皆嫌な夢を見ていて、井戸のある古い家に入っていくと二階へ上がる階段があるがどうしても怖くてその先に行けないという内容でした。劇の主役を演じる愛子(奥貫薫)が薫(高畑淳子)に夢の内容を話すと、薫も同じ夢を見ていた事が分かりじっとりと嫌な雰囲気になります。

その日の舞台稽古の最中に舞台の端で休憩していた愛子に白い服の少女が近付きます。しばらくして薫と愛子の出番になり、動かない愛子に薫が声をかけに行くと、愛子が死んでいて薫が悲鳴をあげます。

東京に来た記者の宮地は貞子の主治医である久野先生(水上竜二)に会いに来ます。久野先生は元々貞子の父親の弟子であり、貞子の父親や貞子が今何処にいるのかを知りたくて来たのですが、久野先生からは聞き出す事は出来ませんでした。

 

看板女優であった愛子が死んでしまい、混乱する劇団員達。舞台を中止にする訳にはいかないと演出家の重森が急遽貞子を主役に抜擢します。周りの人は研修生だった貞子の突然の主役にとまどい、遠巻きに貞子と距離を取っていました。そんな中音響の遠山(田辺誠一)だけは貞子と普通に接していきました。段々と親しくなる貞子と遠山に悦子(麻生久美子)は悶々としながらも、貞子の衣装の手直しを楽屋でしていました。その時に、愛子も見た白い服の少女が悦子の前にも現れたのですが、悦子は気を失うだけですみました。

意識が戻った悦子は手直ししていた衣装が無くなっている事に気が付きます。白い服は貞子だと思う悦子は通りかかった遠山と貞子を探す事に。貞子は衣装を手に舞台稽古場をふらふらと歩いていました。気を失うまで手直していた衣装を見て悦子はやっぱりおかしいと貞子に詰め寄るも遠山に止められ去っていきます。

心配をしてくれる遠山に「自分でも何をしていたのか覚えてない時があるというのと、自分の近くに親しい誰ががいる。」という事を相談する貞子。

 

次の日に悦子は貞子の履歴書から主治医の久野先生の存在を知り、病院まで行き貞子が来てから劇団内は奇妙な出来事があると言ったのですが、久野先生は何も言える立場にないと舞台のチラシを突き返されてしまいます。そのチラシを記者の宮地の知人が拾い、貞子の居場所が知られてしまうのでした。

 

舞台初日の前日、記者の宮地が劇の取材と称して舞台に来て貞子の取材を始める宮地。カメラで貞子を写しているとフラッシュを嫌がる貞子、その瞬間カメラの照明が割れて壊れてしまいます。宮地が会社に戻ると須藤先生が来ていて、どうしても誰にも言えなかった事を言いに来たと言いました。その内容とは、山村家に1度だけ訪ねた事があり、その時すでに貞子の母親は普通ではなかった事、家の中で何かが這うような音がして先に居たのが貞子、這う貞子をすぐ見た後に横に白い服の少女が居た事という経験をして、貞子は2人いるのではないかというものでした。

須藤先生が帰った後、現像した写真を見ると劇団員は呪われているような顔のねじれがあり、宮地の後ろには、貞子の母親の公開実験の時に亡くなった宮地の婚約者が写っていました。貞子を撮った写真の中にはうっすらともう1人の存在が写ってました。

森重は記者宮地の貞子への取材で貞子の母親が公開実験をした事、公開実験で亡くなった人がいるのも貞子が殺したのではないかと気付き、「お前は理想の女だ。俺を殺すなら全部喋って道連れだ」と貞子を脅迫します。貞子が拒否すると重森は貞子の首を締め殺そうとしますが、そこに遠山が来て貞子を助け、遠山が重森と転倒した時に重森は亡くなり、遠山は額に重症を負います。貞子は慌てて遠山を久野先生の所へ運びますが、重症だったはずの怪我が塞がりかけている状態でした。

しばらくして病室で目覚める遠山。貞子を晒し者にしたくないと自首しようとしていたが、貞子が待合室で歩けない車椅子のお爺さんの太ももに手を添えるとすっと立ち上がり、その光景を見ていた遠山は「まだ終わった訳じゃない」と劇団に戻ります。

舞台が終わったら2人で遠くへ行こうと約束して貞子は舞台へと臨みます。

裏で悦子の協力を得て記者の宮地も観客席へと座って劇が始まるのを待っています。

劇の最中に舞台の隅で重森が死んでいるのを裏方が発見、薫や他の団員達に伝えると貞子が殺したに違いないという空気が流れます。悦子は記者の宮地に渡された公開実験の際の音声を貞子の登場シーンで流し始めます。「的中、的中」と流れる音声に戸惑う貞子や観客達。貞子は段々と昔の事を思い出して舞台上に母親の亡霊を見ます。動揺している貞子の前に久野先生が出てきて「君には素晴らしい力がある」と落ち着かせようとしましたが、錯乱した貞子の力により久野先生は劇のセットのロウソクの上に倒れ、その上から照明器具が落ちて死んでしまいました。

 

その一部始終を舞台の袖で見ていた劇団員達。貞子を逃してなるかと貞子を追い詰めて行きます。必死に自分じゃないと言うものの、信用される事のない貞子。団員達にハンマーや小道具で殴られ死んでしまいます。そこへ記者の宮地も駆け付け、「私が殺すつもりだったのに」と悔しそうに呟き「まだ終わってない」と言いました。なぜなら井戸の夢を見た人はもう1人の貞子を殺さないと呪い殺されてしまうと。

もう1人の貞子がいるのは昔貞子を育てていた伊熊(伴大介)が匿っているだろうと記者の宮地と井戸の夢を見た劇団員達は伊熊の元へと向かいます。貞子の遺体と、遠山も一緒に同行しています。伊熊の家に着くともう1人の貞子を殺そうと意気込む記者の宮地や劇団員達。伊熊は「貞子は1人だった、途中で2つに分かれた。片方は母親に、もう片方は本当の父親に似た。母親は2人を見て気が狂い、片方は薬漬けにして成長を止めるしか無かった。」と言われます。更にこうも言われます、「まさか貞子を連れてきたんじゃ…」。

そんな中死んだはずの貞子が生き返ります。遠山は貞子を連れて逃げます。しかし貞子は遠山に「私から離れて逃げて」とどんどん海の方へと近付いて行きます。崖の上でもう1人の貞子、白い服の少女がいて貞子と一体化をして能力が覚醒してしまいます。

遠山を始め、劇団員を次々殺めていきます。悦子を連れて逃げた記者の宮地は古い家に入り銃で貞子を殺そうとしましたが、返り討ちにあい銃殺されてしまいます。

伊熊は死体の凄惨な状況を見て貞子が殺してしまった事を悟り、泣きじゃくる貞子に「家に帰ろう」と言います。家に帰ると精神が落ち着くからと注射をします。すぐに苦しがる貞子に、伊熊は「お父さんもすぐ後を追うから。」と言います。おそらく致死に至る毒薬ですが、殺されまいと貞子も必死に逃げます。井戸の所まで逃げた貞子に伊熊はナタで切りつけ井戸に落とします。気を失う貞子が見たのは遠山との幸せな時間の夢でしたが、目が覚めるそこは井戸の中、そして徐々に閉められる井戸の蓋で終わります。

感想としては、リングではすでに呪いをかける貞子としてだったので、今作はとても人間くさい貞子だなと感じます。超能力さえなければ普通の女の子として恋もするやりたい劇もするといったほのぼのな気持ちになれただろう作品ですが、やっぱり井戸から出て来る貞子になる過程がここにあり!と思います。ホラーとしてこの作品を見てしまうとあまり怖い部分もないので何か違うなと思ってしまうと思うので、あのリングに至るまでの不遇な少女の過去として割り切って見て頂きたいと思います。見所としては仲間由紀恵の初々しい演技だと思います。根暗というか、人を必要以上に寄せ付けないとする貞子の姿勢みたいなのを感じる事が出来ました。

 

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